訪問介護 ショートステイ間の往復

送迎のご利用者の中に、2つのショートステイの間を、半月ペースくらいで往復されている人がいる。基本はある市町村の施設だが、時々4、5日間別の市町村の施設へ移ってまた帰ってくる。


こういう送迎は介護保険は使えないので、自費のサービスになる。彼はまだお若いと思われるが脳梗塞を患い歩行がおぼつかない。見守りに気を使う。ほとんど会話も無い。


ただ、往復の途中、コンビニへ寄って欲しいと、当然のことのようにご依頼がある。そこで、パンやお菓子をたくさん買う。施設内では食べられないのでそれを楽しみにしているご様子。自費の送迎サービスだから、そこは自由で、店内を付き添いながら買う。急いでいる時は少し気持ちが焦ることもあるが、ぐっと堪える。買った食べ物は車中で食べるから、ポロポロと食べカスがこぼれる。ケアマネ経由でこのサービスの依頼が来る時は、快く引き受けるものの時間と心に余裕を持つようにしている。


しかし、ある時から本人、移動時にお金を持たせて貰えなくなった。途中で大量に食べ物を買うから施設側でも困ってしまってることは容易に想像できていた。


やはり買い物はダメになったかと、こちらはホッとしたが一方でその人が気の毒にもなった。そんなかたちで買い物無しの往復が数回続いた。


今日また移動の日だ。普通ならケアマネが帰りの日を指定してくるが、今回は帰りの依頼が無い。ケアマネが忘れて、直前に依頼が来るのか他の事業者へ依頼したのだろうと思っていた。


朝お迎え行くといつもより荷物が多い。施設常駐の看護師さんが荷物を運ぶのを手伝ってくれた。看護師さんに、帰りはいつ?と訊いたら、小さな声で「ここへはもう戻らない。」と言った。ご利用者と二人になった時、彼は私に「次はどこ行くの?」と不安そうに訊いてくる。どうも最後の施設が決まったらしく、今日行く施設に一時滞在してその後は、そこへ移るらしい。


私は、もうこの送迎も終了かと思い、またもや彼が気の毒になった。〇〇さんコンビニ寄ろうか?と言ったら嬉しそうにうなづいた。パン2個だけだよ、と言って選んでもらい、私の財布から金を払った。


心地良い5月の風が車中に入ってきて、少し暑いくらいの日であったが、言葉少ない淡々とした送迎であった。