訪問介護における緊急対応

今朝は、8:00前頃か、駅から事務所へ向かっている時携帯が鳴った。独居のご利用者だ。
脚を痛めて装具をつけているが口は達者でクリア、典型的な元サラリーマン管理職か。

用件は整形外科を連れて行って欲しいと。
話を聞くと、夕べトイレへ行く時、室内で転んでベッドへ上がるのに2時間かかったとの事。よくある話ではある。余程状態が悪い人の場合は、緊急コールボタンというのを常時衣服に装着しておき、ボタンを押すと、ヘルパーが来る仕組みもある。業者は限られるが24 時間、365日体制のところもある。
まあまあ室内を歩ける程度の人が一番危ない。

今回は転倒者を起こすための緊急電話では無かったが、転倒直後の緊急依頼も時々ある。転倒して起き上がれない、または家族だけではベッドへ上げられないという場合、大体、体重の重い男性である。中には自分で救急車を呼んでしまう人もいるが、救急隊員は転倒した人を起こすのが目的でないから、怪我の程度とか痛みを聞いて病院へ搬送してしまう。

だからそれを知っているご利用者は救急車は呼ばない。昼間であれば我々訪問介護事業所も呼ばれることがあるが、訪問時、体重の重い人を床からベッドへまともに上げるのは少なくとも女性ヘルパー1人ではまず無理である。理想は男性2人。

ところが、ある時、女性ヘルパーが70kgある男性のところへ定期で訪問したら、ご利用者が床に倒れていたことがあった。通常なら事務所へ連絡して男性ヘルパーの応援を頼むところだが、そのヘルパーは1人でベッドへ上げてしまった。

結局のところこういう場合は、力を使って上げようとしても所詮無理である。介護の基本は、ボディメカニズムとか言われたり、テコの原理を使うとか言われるが、それは基本であって、さらなる工夫が必要である。ご利用者ご自身の力で可能な力をフルに活用するのである。正確にはフルに活用できるような環境を整えることである。例えば椅子とか手摺とかまで這っていってもらい、少しずつつかまりながら上に行く等々、その人の状態によって異なる。

介護保険では緊急時加算というのがあって費用はかかるがせいぜい数百円である。