訪問介護とキャンセル

訪問介護では常勤と登録制非常勤ヘルパーとの間で考え方の違いが出るのは賃金である。現在世間で問題となったいる正規と非正規の間の同一労働での賃金格差とは少し趣きが違う。
例えば、昨日の話はこうだ。ヘルパーより、
「ご利用者の突然の当日キャンセルの場合、キャンセル料の何割かはヘルパーに支払っていただけるのでしょうか?」という質問がきた。「ヘルパーとしましても、予定を当てています。突然キャンセルとは多少は迷惑がかかっています。いかがでしょうか?」

これについては、背景があり、ご利用者は独居で病状も重い女性、お子様たちは、車で2時間くらいのところに在住。時々週末母を訪ねて来る。
来る時は前日までに連絡が入りヘルパーはキャンセルになるのだが、昨日は雪情報もあって、当時の朝、雪は大した事なく、来れそうなので、キャンセルの連絡があった。普段のキャンセルには不満を表に出さなかったヘルパーもさすがに憤慨したのであろう。クレームを言ってきた。

そこで以下のように回答した。
➡︎キャンセル料について、結論としては、出ません。以下ご説明いたします。
①だいたい、どこの事業所でもデイサービスでも同じですが、介護保険利用の場合、
前日17時までにキャンセルがあった場合は、キャンセル料無し、当日キャンセルの場合は、自己ご負担分を払っていただく。
例えば、3000円のケアであれば、300円をお支払いいただく。但し、ご本人が体調不良の場合は、キャンセル料を頂かない。➡︎当事業所の場合は、これと同じ契約になっていますが、300円程度頂いても仕方ないので、ドタキャンでもキャンセル料はとりません。
話は変わりますが、ビジネスの場合、「損して得取れ」という考え方があります。小さな金額にセコセコしているとお客さんも嫌気がさし、離れていってしまう、だから、細かい事には目を瞑り、大きな仕事をもらう、ということです。従って、本件ドタキャンでもキャンセル料は取りません。(当事業所の仕事が増えているのも事実です。)
③それでは、ヘルパーさんは、行く予定だったのに、突然キャンセルでは収入が減るがそこをどうしてくれるのか、という理屈が成り立ちます。
④しかしながら、ヘルパーさんにとっても前日17時までにキャンセルが入れば、翌日は仕事がなくなるので、やはり収入がなくなります。もし、その日を何か別の予定に使うとすれば、前々から予定しているはずで、事実◯◯さん(相手のヘルパー)からも事前のお休みを前広にいただいており助かっております。
⑤また、ご利用者が入院したような場合、ヘルパーさんにとって今まで訪問していた時間帯に穴が空くことがあります。そういう場合は、当方も他のご利用者を訪問してもらうとか、いろいろ工夫は試みますが、上手くいかないことも多く、収入がなくなるのはやむを得ません。
⑥これは訪問介護の登録制ヘルパーの宿命のようなもので、これを避けるためには、
常勤で勤務するとか、施設で定時の時間給で勤務するしかありません。お金だけが目的であればその方が収入は安定します。しかし、空いた時間を私的に上手く使う等の融通のきく勤務形態のメリットは無くなります。
⑦一方△△様(当該ご利用者)の場合、ご家族都合のキャンセルがあまりに多いのも事実です。当然他の事業者さんへもキャンセルしてます。ヘルパーさんによっては、連続で順次回っているので、空いた時間を寒い中どこで時間潰しているのかわかりませんが、問題です。今回のように雪の様子をみて当日キャンセルというのは初めてなので、暫く様子をみたいと思います。
⑧私が察知するところですと、ご家族はヘルパーにお母様への難しいケアを申し訳ないと感謝している感じです。だから、たまにはゆっくり休んでほしいとの配慮もあるようです。もちろんお母様がだんだん弱ってきてますので、時間を感じているのかもしれません。ですから、理屈や合理性だけで「ご実家へ来る時はもっと早く教えてくれませんか。」と言ったら、我々の職務は完全に倫理から外れます。
以上ご理解可能でしょうか?
何を書いているかわからないようでしたら、事務所でお話ししますので、お来し下さい。

と、こういうやり取りも重要な仕事だ。以前よりもストレス耐性がついたような気がする。