訪問介護における福祉用具と住宅改修

高齢者にとっては在宅での生活が一番のようだ。長年住み慣れた家にずっと住んでいたいと思うのは当然かもしれない。しかし、若い頃に購入あるいは建築した家は老後の生活を想定していないから、いろいろ不自由が出てくる。

簡単な例は階段である。二階へ上がるのが容易でなくなるだけでなく、多くの住宅では、玄関から上がり框というのがある。高い段差である。また、家によっては道路から玄関まで階段が数段あったり、今まで訪問した中で最高は一戸建てで、玄関まで20段くらいの階段があった。尤も傾斜地に建っていた風情はあるお宅だ。

室内では、浴室内をはじめ所々に手摺が必要になる。

そこで、住宅改修とか福祉用具が必要になる。ケアプランが変わる時、あるいは介護保険の更新や介護度の変更等で関係事業者が集まって会議をする時必ず参加するのが福祉用具の事業者である。

ところで、こちらは専門ではないが、利用者の立場に立っていろいろアドバイスや福祉事業者の提案を検証をすることがある。今日は、たまたま二軒のお宅でその関連の現場検証を行った。

一軒は当方のヘルパーが入浴介助しているお宅で、ヘルパーが、浴室内の壁に手摺がないと危ないと提言。しかしご家族は壁に手摺は付けられないとの見解である。この話は何年も前から出ているのだが、自分ももう一度現場を見てみようと訪問してみた。なるほど、壁は一見堅固なようだが、押すと壁の後ろが空洞になっているようである。そこで、浴室の床に置く形の手摺を導入してはどうかと提案した。
福祉用具事業者がどういう手摺を持って来るか楽しみである。

もう一軒は、近々退院してくるご利用者宅。
ほぼ寝たきりになり、日中車椅子に移動してほしいというご家族のご要望があり、先日、病院へ行きご本人のお見舞い兼ねてご様子を見てきた。

女性ヘルパー1人でベッドから車椅子へ移乗するのは非常に難しそうだ。理由は体重がそこそこ重いこと、また長期の入院で身体が硬くなっており車椅子に座ると身体が自然と延びてズレ落ちてくる。そこでベッドから車椅子への移乗はケアマネの案でリフトを導入することになった。一方車椅子の方は大きめのリクライニング式である。

ところで実際の移乗作業は例えリフトがあっても慣れるまではなかなか困難なのは私も経験している。つまり、リフトから車椅子への着地点がズレると椅子から滑ってしまい、床へ。こうなると先ず持ち上げられない。だから最初はヘルパーとご家族と2人で対応する必要がある。もちろん最終的に慣れた時はご家族1人でやっていただく前提だ。どんなリフトが来るのかこちらも期待している。

このお宅では、もう一つ課題がある。玄関までの階段と上がり框。時々出かける、デイサービス、ショートステイ、通院時にどうするかである。幸いお庭の広いお宅だったので、 
居室か玄関を通らず直接庭へ出る事になった。そしてそこで利用されたのがスロープである。傾斜を緩やかにするために最長のスロープを2つ繋げたのだ。流石にこれは初めてのケースだ。2つのスロープで大きな車椅子の登り降りは出来るか。残された課題は多い。