遠距離介護と中距離介護

遠距離介護とか中距離介護とかいう言葉が現在定着しているわけではない。勝手に自分で考えている。

遠距離介護とは概ね数百キロ以上、例えば東京/大阪間かそれ以上(海外も含む)をイメージしている。このくらいの距離だと実質介護はできず、数ヶ月に一回訪問して様子伺いをし、あとは他人に任せるしかない。

訪問介護をしていて直面するのは中距離介護だ。お子様が老親を尋ねてきて日帰りで帰る。その1日でいろいろお世話し、次週とか2週間後にまた来る。この中距離介護というのは結構大変そうだ。普段の生活は訪問介護とかデイサービスを利用してそれほど困ることはない人でも月数回の通院時が問題である。

ご本人が医師に何でも説明でき、医師の説明も理解できる、また、病院内を1人で回れるのであれば問題ないが、そうでない場合は家族が付き添うことになる。

昨日の例。朝9時にお迎えして大学病院へ行くご利用者。ご自宅へ着くと同時に娘さんが走ってそのお宅に来た。「途中電車に遅れてしまってすみません。間に合って良かった!」

病院への行きすがら、どちらからいらっしゃったのか訊いたら、朝5時に起きて電車を何本も乗り継いで、2時間かかったと。

遠くから親の支援に来るのは圧倒的に娘さんが多い。中にはお嫁さんというケースもある。皆さん還暦前後であろうが、子育ても終わり時間がある人は良いが、仕事を持っている人もいて、そのためにわざわざ休暇を取るようだ。それどころか、仕事を止めて親の家へ単身赴任してくる娘さんもいる。

核家族化と子供の独立、結婚、転勤転居と昔の大家族時代の介護とはだいぶ様相が異なる。

もちろん、お子様のいない方、お子様が親のところに寄り付かない方、元々独居の方などは、病院の付き添いもヘルパーが行う。ヘルパーが診察室に入って医師とのやりとりを行う。どんな医療的判断も同意も家族第一主義といってもお一人身ではどうしようもない。ケアマネとも相談して訪問介護事業所のヘルパーが同行してメモをとる。私も通院送迎の延長で画像など見ながら随分医師の説明を聞いた。いろいろな診療科に行くので、特定分野の専門医より広く浅く医療知識が得られたような錯覚に陥る。また現代の医療につき考えさせられる事も多い。

中距離介護からだいぶ話がそれたが、要するに、現代の介護事情はそのようになっている

という実態があちこちにある。