訪問介護におけるストレス(移動編)

訪問介護というのは、あちこちのご利用者宅へ巡回しサービスを提供して回る、いわば移動型介護。施設介護は建物の中にずっといて介護する。個人的な趣向は移動型である。介護ヘルパーにおいても施設か訪問か好みが分かれる。自分は車で移動だからサービス範囲はかなり広い。日によっては、半分は車内だ。 ストレスの代表的なものが、時間的ストレス。電車の時刻表のように利用者ごとの訪問時刻、退出時刻がキッチリ決まっている。

だから、訪問先に遅れてはいけない。誤差はせいぜい5分だ。ということは、その段取りで前のお宅の仕事を終えなければいけない。

正直ご利用者とゆっくり話など出来ない。出際にご利用者が、これもお願い、とか何か話をしだすと気が気でない。申し訳ないがうまく話を遮り、ではまた、と退出する。自転車で移動する場合でも車で移動する場合でも、あと何分、時計と道のにらめっこ。一番脈拍があがる時だ。 昨日の話、これは車で病院へお連れする仕事。朝、定時に行ったらご本人準備全く出来てない。これから着替えするとか言うので、これでは次のご利用者に遅れてしまう。「お母さん、病院午後にしましょう。」と言ってここは諦めた。途中、昼頃、移動中にケアマネから電話が入る。「病院から電話きて〇〇さん来てないらしいよ」。「すみません。朝訪問したら準備全くできてなかったから午後にしたのよ」。答えたは良いが、今日は午後も一杯でどの時間に入れ込むか。先ずは先方の病院の受付時間を確認。15時30分までだ。その前に、近くの総合病院から隣の市の施設まで1人お送りする必要がある。何とかなるだろうと思っていたら、これが手こずり、施設への送り届けが15時になってしまった。あと30分で今朝のご利用者宅へ行き、ピックアップして15時30分までにその病院へ。かなり厳しい。そこでご利用者宅へ電話して「今から10分後に着くから用意しておいて下さい!」もう命令口調である。これで先方が準備できてなかったら今日はアウト。火傷の手当てが出来ない。祈る気持ちでそのお宅近くへ行ったら、何と、ご本人が寒い中、道まで出て来てくれていた。これはラッキー。次なる関門は15時30分まであと10分。約5キロ先の病院まで着くかが問題だ。わりあい大きな病院だから定刻で受付が閉まるか、コンピュータが停止して門前払いの可能性がある。それと難関が踏切である。病院は踏切の横だが踏切が閉まっていたらこれまたアウト。そこで慌ててスマホで病院の電話番号調べて即電話する。交換嬢にいきなり「皮膚科にかかっている〇〇さん今行くところですけど、踏切閉まっていて少し遅れるけど何とかお願いします!2分くらい遅れます!」実はまだ踏切まで辿り着いていない。交換嬢は皮膚科へ繋いでくれ、また、同じ説明。何とか許可が出た。これほど際どく滑り込むのも珍しいが着いたらもう患者は誰もいなく、かえって待つ事なく診察を受けられた。結果オーライで乗り切った時、喉はカラカラだった。